手外科
【診療Tips】粘液嚢腫と手指変形性関節症(OA)の関係 はじめに手指の変形性関節症(Hand OA)は、中高年女性に多く見られる疾患です。 関節変形や痛みのほか、DIP関節に発生する粘液嚢腫(digital mucous cyst)が合併することも少なくありません。 興味深いのは、炎症が存在しても痛みを強く訴えない患者に、粘液嚢腫が出現しやすい 点です。 粘液嚢腫を主訴に来院する患者さんは、痛みがないことが多いよ。例外的に穿刺をくり返している患者さんは痛みを訴えるよ。
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粘液嚢腫とは?粘液嚢腫に合併する爪変形は、必ず爪が陥凹するよ。嚢腫が爪母を圧迫するのが原因。嚢腫がなくなると爪は平らに戻るよ。
指導医
粘液嚢腫と爪の陥凹変形
手指OAとの関連
痛みとの乖離DIP OAにおいては「レントゲンで強い変形があるが痛みが少ない」という患者が存在する。
この場合でも、関節内では滑膜炎や関節液増加が進行していることがある 。
痛みを強く感じないため放置されやすいが、その結果として粘液嚢腫が形成されやすい と考えられる。
臨床的示唆
まとめ手指OAや粘液嚢腫は一度進行すると自然に治ることは難しく、早めのケアと予防が大切だよ。サプリメントやサポーターを上手に取り入れて、毎日の生活を快適に過ごしましょう。おすすめの商品はこちらから。
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小野真平(形成外科医)/ Shimpei Ono(Plastic Surgeon)
日本医科大学形成外科学教室 准教授/医師。Advanced Medical Imaging and Engineering Laboratoryを主宰。
手足の形成外科、マイクロサージャリー、再建外科を専門とし、臨床・研究・教育に従事。可動式義指の開発、VR教育、3D超音波や医用画像工学の応用、PROsを重視した研究を展開。
美術解剖学や医療イラストレーションにも造詣があり、芸術と医学の融合をテーマに講演・執筆。教育活動では学生・研修医指導のほか、東南アジア医学研究会(Ajiken)部長として国際医療交流・災害医療にも取り組む。
-手外科 -DIP関節 , Heberden結節 , OA合併症 , 手指変形性関節症 , 粘液嚢腫
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