手外科
【診療Tips】手指の屈筋腱・伸筋腱の解剖|外傷・腱断裂治療に必須 Key Point Summary 屈筋腱
母指はFPL1本のみ。
示指〜小指はFDSとFDPの2本で構成。
FDSはPIP、FDPはDIP関節の屈曲を担う。
伸筋腱
リンク
腱の解剖と機能は非常に複雑だけど、まずは押さえておきたい最低限の必須ポイント をまとめたよ。
指導医
屈筋腱(Flexor Tendon) A. 解剖(Anatomy)手の屈筋腱
FDP & FDS
浅指屈筋腱 & 深指屈筋腱
指のIP関節(PIP関節・DIP関節)を屈曲するための筋肉は、前腕に位置するためextrinsic muscle(外在筋) と呼ばれるよ。一方、手の中に起始と停止がある筋肉をintrinsic muscle(内在筋) と呼ぶんだ。
指導医
B. 機能(Function)腱 主な作用(Primary Action) 補助的な作用(Secondary Action) FPL(長母指屈筋腱) 母指IP関節の屈曲 MP関節・手関節の屈曲にも関与 FDS(浅指屈筋腱) PIP関節の屈曲 MP関節・手関節の屈曲にも補助的に関与 FDP(深指屈筋腱) DIP関節の屈曲 PIP・MP関節、手関節の屈曲にも関与
FPL・FDS・FDPはいずれも前腕に起始があるため、手関節の屈曲にも関与 するよ。ただし、手指末梢の関節ではより選択的に作用する点が特徴だね。
指導医
伸筋腱(Extensor Tendon) A. 解剖(Anatomy)
Extensor mechanism of finger
指の伸展機構
B. 機能(Function)筋・腱 主な作用(Primary Action) 補助的な作用(Secondary Action) EDC(総指伸筋) MP関節の伸展 手関節の伸展を補助、PIP・DIP関節は単独では伸展できない 掌側骨間筋(Interosseous muscle) PIP関節の伸展 DIP関節の伸展にもわずかに関与 虫様筋(Lumbrical muscle) DIP関節の伸展 PIP関節の伸展にも補助的に関与、MP関節は屈曲に作用
レジデント
あれ?EDCって中節骨の基部背側に停止してるのに、PIP関節って伸展できないんですか?
いや、単独では無理という意味。EDCはMP関節を伸展する力が主で、PIP関節やDIP関節をそれ単独では十分に伸展できないよ。PIP関節やDIP関節の伸展は、EDCが単独で働いているわけじゃなくて、内在筋を含めた伸展機構(extensor mechanism)全体が連動して動くのがポイントだよ。
指導医
関節 EDCの作用 解説 MP関節 強力に伸展 MP関節包に直接付着しており、単独で伸展が可能 PIP関節 補助的に伸展 内在筋(掌側骨間筋・虫様筋)との協調が必要 DIP関節 ほぼ作用なし 内在筋が主に担当、EDC単独では伸展できない
下のイラストをみてごらん。内在筋(掌側骨間筋と虫様筋)の走行を赤の点線で示しているよ。中枢→末梢に向かって、掌側→背側に走行しているよ。つまり、内在筋が収縮するとMP関節は屈曲、PIP関節とDIP関節は伸展するのがわかるね。
指導医
レジデント
Intrinsic hand muscle function
Extensor mechanism of finger
指の伸展機構
レジデント
総伸筋腱(EDC)と中央索(central slip)って同じですか?
別物。ただし密接に関係しているよ。Central slipはEDCがPIP関節を越えるあたりで分岐した腱の一部だよ。EDCが上流、中央索はその先端部分と考えるとわかりやすいよ。
指導医
リンク
小野真平(形成外科医)/ Shimpei Ono(Plastic Surgeon)
日本医科大学形成外科学教室 准教授/医師。Advanced Medical Imaging and Engineering Laboratoryを主宰。
手足の形成外科、マイクロサージャリー、再建外科を専門とし、臨床・研究・教育に従事。可動式義指の開発、VR教育、3D超音波や医用画像工学の応用、PROsを重視した研究を展開。
美術解剖学や医療イラストレーションにも造詣があり、芸術と医学の融合をテーマに講演・執筆。教育活動では学生・研修医指導のほか、東南アジア医学研究会(Ajiken)部長として国際医療交流・災害医療にも取り組む。
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