手外科

【診療Tips】アキュトラックマイクロ・ミニ徹底解説

1. アキュトラックマイクロ・ミニとは

  • アキュトラックは、ヘッドレスコンプレッションスクリューとして設計されており、骨折部位に強固な固定力を提供します。特に、手指の小関節や舟状骨骨折などの小骨片に適しており、手術後の軟部組織への刺激を最小限に抑えます。
  • スクリュー全体にねじ山があり、遠位部と近位部でねじピッチが異なるVariable Thread Pitch設計を採用。これにより、スクリュー挿入時に骨片を自然に圧迫し、安定した骨癒合を促進します。

Acutrak 2®
Headless Compression Screw System

 

 

2. 適応症例

  • アキュトラックマイクロおよびミニは、以下の症例に使用されます。
    • 舟状骨骨折(新鮮例・偽関節例)

    • DIP関節固定術

    • PIP関節固定術

    • 橈骨頭骨折、小頭骨折

    • 中手骨骨折

    • MP関節固定術

  • これらの症例では、従来のヘッド付きスクリューでは得られない滑らかな埋没固定が可能で、術後のリハビリがスムーズになります。
スクリューのヘッドがないことで骨の中に埋没が可能だよ。
指導医

 

Acutrak 2® Headless Compression Screw Systemの使用例

 

3. アキュトラックの特徴

  1. ヘッドレスデザイン

    • スクリューが完全に骨内に埋没するため、軟部組織の刺激が少なく、術後の違和感を軽減。

  2. 強力な圧迫力

    • 遠位部と近位部で異なるねじピッチにより、骨折部を圧迫固定。

  3. ガイドワイヤーによる経皮的挿入が可能

    • 小切開での手術が可能で、低侵襲手術を実現。

  4. チタン合金製で高い耐久性

    • 骨癒合期間中の繰り返し負荷に耐える強度を持ちます。

「遠位部と近位部で異なるねじピッチ」がポイントでこれにより骨折部を圧迫固定できるよ。
指導医

 

4. マイクロとミニの違い

種類 使用ガイドワイヤー径 主な適応
マイクロ 0.9mm DIP・PIP関節固定、小骨片骨折
ミニ 1.1mm 舟状骨骨折、中手骨骨折、小頭骨折
ポイント: DIPやPIPなどの極小関節にはマイクロを、舟状骨ややや大きい骨折にはミニを選択するよ。
指導医

 

5. 日本医科大学で使用時の院内オーダー手順

  • アキュトラックは手術で使用する器械セットが必要なため、手術機器をオーダーする際は必ず以下の手順を守ってください。
  1. サンメディックス担当者に連絡

    • 担当者に使用日を事前に連絡して器械セットの準備を依頼します。

  2. 手術オーダーへの記載

    • 手術オーダー票に「アキュトラック使用予定」と明記することが必須です。

    • 記載漏れがあると当日使用できない場合があります。

上記は、日本医科大学付属病院の場合だよ。
指導医

 

まとめ

  • アキュトラックマイクロ・ミニは、手指関節固定術や舟状骨骨折の治療において強力な固定力を発揮するスクリューです。
  • 院内でのスムーズな運用には、サンメディックスへの連絡手術オーダーへの記載を忘れずに行いましょう。
項目 内容
特徴 ヘッドレス構造、全長ねじ山、ガイドワイヤー対応、低侵襲挿入
適応例 指関節固定、小骨片~舟状骨など外傷治療
選び方 Micro:極小部位、Mini:中骨片・関節固定
オーダー手順 サンメディックスへの連絡+手術オーダーへの記載が必須

 

参考資料

 

書籍レビュー:The Grasping Hand The Grasping Hand は、Dr. Amit Gupta とDr.玉井誠 編集による手・前腕・肩までを包括的に解説した解剖書だよ。1100枚以上の鮮明な剖検写真が掲載され、構造だけでなく機能や臨床応用にも踏み込んだ内容が特徴。特に舟状骨や指関節など微細な部位の理解に役立ち、手外科医、理学療法士、医学生にとって貴重な資料となるよ。手術計画や教育にも直結する視覚にうったえる実践的な一冊。
指導医

 

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小野真平(形成外科医)/ Shimpei Ono(Plastic Surgeon) 

日本医科大学形成外科学教室 准教授/医師。Advanced Medical Imaging and Engineering Laboratoryを主宰。 手足の形成外科、マイクロサージャリー、再建外科を専門とし、臨床・研究・教育に従事。可動式義指の開発、VR教育、3D超音波や医用画像工学の応用、PROsを重視した研究を展開。 美術解剖学や医療イラストレーションにも造詣があり、芸術と医学の融合をテーマに講演・執筆。教育活動では学生・研修医指導のほか、東南アジア医学研究会(Ajiken)部長として国際医療交流・災害医療にも取り組む。

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