形成外科

【診療Tips】最新4K3D外科用顕微鏡「オーブアイ(ORBEYE)」の特長と臨床応用:マイクロサージャリーへの革新

ORBEYE(オーブアイ)とは

  • ORBEYEはオリンパスが開発した、4K・3D・裸眼手術顕微鏡です。従来の双眼鏡式顕微鏡とは異なり、術野を4Kカメラで撮影し、3Dモニターに投影することで、術者は専用3Dメガネを用いて立体視できます。

主な特徴

  • 裸眼ではなく3Dメガネを使用して立体視

  • 4K解像度による精細な術野の描出

  • 術者・助手・看護師が同じ視野を共有可能

  • 術者の姿勢が自由で、肩や首への負担軽減

  • 直線的でシンプルなアーム設計で draping が容易

顕微鏡を覗く手術から、高画質の大画面を見ながらの手術にかわりつつあるよ。
指導医

 

ORBEYEの基本構成

構成機器特徴
4K3Dカメラユニットマイクロ血管吻合や神経修復を高解像度で可視化
大型4K3Dモニター術者・助手が同時に視野共有
ワイヤレスフットスイッチズーム、フォーカスなどを操作
LED光源長寿命で冷光源、メンテナンス容易

ORBEYE本体と4K3Dモニター。シンプルなアーム構造で設置・移動が容易。

 

ORBEYE導入によるメリット

(1) 術者の身体的負担軽減

  • 従来の顕微鏡では「首を前に傾ける固定姿勢」が必要でしたが、ORBEYEではモニターを見ながら自然な姿勢で手術が可能です。

(2) チーム全員が同じ視野を共有

  • 助手や研修医、看護師が同じ立体視を体験できるため、教育・トレーニングに最適です。

(3) 教育・学術発表に強力なツール

  • 高画質の手術映像をそのまま録画でき、学会発表や教育資料に活用可能です。

 

ORBEYEによる人工血管吻合

ORBEYEを用いた人工血管吻合トレーニングの様子。3Dメガネなしだと画像がブレている。

 

3Dメガネを装着すると、立体的な血管や縫合糸が鮮明に見える。

 

高精細な画像により、細い血管や縫合部位が鮮明に表示される。

 

 

導入にあたっての注意点

  • 高額機器(数千万円)のため、購入のハードルが高い

  • トレーニング時には3Dメガネの準備が必要

  • 一部の術者は3D酔いを感じる場合があるため、事前の体験を推奨

 

まとめ

  • ORBEYEは、従来の顕微鏡手術を革新する次世代4K3D手術顕微鏡です。

  • 教育・臨床・研究において高い有用性を持ち、特に形成外科や脳神経外科領域での活躍が期待されています。

 

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

小野真平(形成外科医)/ Shimpei Ono(Plastic Surgeon) 

日本医科大学形成外科学教室 准教授/医師。Advanced Medical Imaging and Engineering Laboratoryを主宰。 手足の形成外科、マイクロサージャリー、再建外科を専門とし、臨床・研究・教育に従事。可動式義指の開発、VR教育、3D超音波や医用画像工学の応用、PROsを重視した研究を展開。 美術解剖学や医療イラストレーションにも造詣があり、芸術と医学の融合をテーマに講演・執筆。教育活動では学生・研修医指導のほか、東南アジア医学研究会(Ajiken)部長として国際医療交流・災害医療にも取り組む。

-形成外科
-, , , , , , ,

© 2025 マイナー外科・救急 Powered by AFFINGER5