はじめに
マイクロサージャリーは、顕微鏡下で血管や神経を扱う高度な技術であり、形成外科、手外科、整形外科、移植外科など多くの分野で不可欠です。技術習得には繰り返しの練習が必要であり、様々なトレーニング方法が考案・実践されています。
代表的なマイクロサージャリートレーニング方法:ゴム手袋の指先部分、シリコンチューブ、糸こんにゃく
- 本記事では、手羽元を用いたマイクロサージャリー練習方法を紹介します。

手羽元
手羽元がマイクロサージャリートレーニングに最適な理由
- 手羽元(鶏の前腕部分)は、以下の理由からマイクロサージャリーのトレーニングに非常に適しています。
安価で入手しやすい:スーパーや精肉店で簡単に購入可能。
解剖学的類似性:ヒトの小血管・神経に近い太さの動脈・静脈・神経が含まれる。
練習環境に優しい:動物実験に比べ倫理的ハードルが低い。
繰り返し練習可能:低コストで大量に確保できるため、初心者から上級者まで段階的に学習可能。
練習できるスキル
手羽元を使うことで、以下のスキルを実践的にトレーニングできます。
練習内容 | 使用対象 |
---|---|
血管吻合 | 動脈・静脈 |
神経縫合 | 筋肉周囲の神経 |
マイクロ器具操作 | 吻合前の剥離・持針操作 |
顕微鏡下の糸結び | 8-0~10-0ナイロン糸 |
準備するもの
マイクロ手術用器具セット
実体顕微鏡
- 縫合糸(8-0~10-0)
手羽元の血管・神経を確認する手順

深筋膜(白い膜)を確認して切除する

筋間を剥離すると動脈・静脈・神経を確認できる

血管吻合や神経縫合の練習をする
まとめ
「形成外科の武器はマイクロサージャリーである」といわれるように、この技術は形成外科医の大きな強みであり、専門性を高める鍵となります。まずは身近に手に入る手羽元から始め、日々の練習を積み重ねて、臨床現場で自信を持って手技を発揮できるようになりましょう。