形成外科 手外科

【診療Tips】術後の患肢挙上:ストッキネットと点滴棒

Key Point Summary

四肢の手術において術後の患肢挙上は、浮腫や血腫の予防の観点から重要である。

腕神経叢ブロックを併用した上肢手術の術後は、患肢が麻痺しているため、患者は自ら患肢を挙上するのが困難である。

ストッキネット+点滴棒で患肢を挙上すると管理しやすい。

 

 

Q & A

 

レジデント
先生は、上肢の手術で術後の患肢挙上は必ずやってますか?

全例でやってるよ。特に術後2〜3日以内は組織が浮腫みやすいので徹底して挙上するようにしているよ。あと冷却も大切。浮腫を最小限にした術後管理をすることで、皮弁や創トラブルを最小限にできるし、将来的な拘縮の予防にもつながるよ。
指導医

レジデント
手指は動かさないで安静にしておいたほうがいいですか?

ケガの種類にもよるけど、術直後から動かせる関節の自動運動を推奨しているよ。手指は安静にしていると浮腫むよ。動かした方が浮腫みは少ないからね。
指導医

レジデント
手指の浮腫予防のリハビリは、実際にはどのように指導したらいいのですか?

手指の浮腫予防の自動運動は、"6 pack exercise"が有名だよね。1時間に5分程度、痛みのない範囲でおこなうとよいよ。手指では特にPIP関節が屈曲拘縮をきたしやすいので、PIP関節の自動伸展を意識してリハビリしてもらっているよ。リハビリは1回あたりの負荷を少なくして、回数をやることが大事だよ。
指導医

 

 

Outline

シーネ外固定】

  • 写真は指の皮弁手術後。
  • 指間にさばきガーゼをいれる。
  • 青綿を巻く。
  • 手関節をまたいで背側からオルソグラス3号+弾性包帯で固定する。基本的には手関節、MP関節、IP関節、いずれも伸展位で問題ない。

ケガの種類によって術後の固定方法は異なるが、多くの場合はこのシーネで問題ない。(例外:屈筋腱縫合では背側から手関節やMP関節を屈曲位で固定する。)

 

指間にはさばきガーゼをいれる。

 

シーネを背側からあてる。

 

ストッキネットと点滴棒で挙上】

  • ストッキネットの中枢側は肘より近位までかぶせて(肘より遠位だと吊したときに引っこ抜けるため)、遠位はハサミで穴をあけて点滴棒にひっかける。
  • 肘が手台から浮かないぐらいの高さで吊るとよい(点滴棒のほうで高さを調整する)。

手指はストッキネットに穴をあけて外にだしておくと患部が観察しやすいうえに、ストッキネットが引っこ抜けづらい。

ストッキネットと点滴棒で挙上する。

 

病棟での管理】

  • 肘が浮かないようにストッキネット点滴棒で吊るすとよい。
  • 肘周囲を保冷材で冷却する。

さらに肘周りを枕で固めると、患肢の不安定さがなくなり、患者は楽である。

病棟での患肢挙上の実際:ストッキネットを点滴棒で吊って、肘周りを保冷材で冷却している。

 

 

外来・自宅での管理】

  • 三角巾でもよいが、アームスリングが便利。ネットで簡単に購入できる。
  • 三角巾と比較して、腕の位置の調整がしやすく、首の痛みも少ない。
  • 母指をひっかけられるタイプがズレなくてよい。

アームスリング

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