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【診療Tips】労災アフターケア制度とは?

はじめに

  • 労働災害(労災)によって受傷した患者さんは、治療終了(症状固定)後も長期的に後遺症や合併症に悩まされることがあります。
  • そうした患者さんの社会復帰を支える仕組みとして労災アフターケア制度が存在します。本記事では、特に形成外科・整形外科・皮膚科に関連の深いポイントを中心に制度の概要を整理します。

 

制度の概要

  • 労災保険制度の一環として、症状固定後も一定の後遺症が残った労働者に対して、無料で継続的な診療・薬剤支給を行う制度
  • 利用にはアフターケア手帳の交付が必要。

  • 申請は症状固定日の翌日から3年以内。

 

対象疾患(2024年4月改正後)

  • 従来の対象疾患(外傷性てんかん、外傷性骨髄炎、外傷性神経症、じん肺など)に加え、2024年4月より以下が追加されました。

    • 外傷による末梢神経損傷(障害等級によるしばりはない)

    • 熱傷(瘢痕が障害等級14級と認定された場合)

    これにより、形成外科・皮膚科領域では熱傷瘢痕や瘢痕拘縮、整形外科領域では末梢神経損傷後の神経障害性疼痛が新たに対象となり、臨床現場での関与が拡大しました。

2024年4月以前も、他の対象疾病としての解釈や労基署の裁量による柔軟運用などにより熱傷瘢痕拘縮の患者がアフターケアを受けれていたケースがあるよ。2024年年4月に公式に認められ、透明性が担保されたといえるね。
指導医

 

診療内容と薬剤

  • 外来での診察、検査、投薬、リハビリが無料で受けられる。

  • 2024年改正で薬剤支給範囲も拡大し、鎮痛薬、消炎薬、血行促進薬、抗菌薬、皮膚保湿剤、末梢神経障害治療薬などが対象。

労災のアフターケア制度では、手術は対象外 だよ
指導医

 

更新の必要性

  • アフターケア手帳の有効期間は原則3年

  • 症状の継続や再発がある場合には更新が必要。

  • 更新には主治医の意見書が求められるため、定期的な診察・記録が重要。

 

まとめ

  • 労災アフターケア制度は、単なる治療後の延長ではなく、長期的な生活支援を目的とした仕組みです。
  • 2024年4月の改正により、熱傷や末梢神経損傷が追加されたことで、形成外科・整形外科・皮膚科の医師が関与するケースは確実に増加します。
  • 制度の理解と的確な申請サポートが、患者の社会復帰に大きな力となります。

 

参考リンク

労災アフターケア制度では、通院やリハビリが長期に及ぶことがある。 患者さんが自宅でのリハビリやセルフケアに役立つ製品を取り入れると、日常生活の質を高めることにつながるよ。 例えば、手指リハビリボールや低周波治療器は自宅で使いやすいサポートグッズだよ。
指導医


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