Key Point Summary
スキンテアは、表皮剥離ではなく皮膚剥脱創である。 高齢者の四肢や顔に好発する。 剥脱した皮膚は植皮の機序で生着するので、ややドライ(乾燥させる)側で管理したほうがよい。 スキンテアは予防が重要:(1)保湿、(2)保護、(3)環境整備。
Q & A
Outline
【概要】
- 高齢者は皮膚が薄く脆弱なため、軽度な外傷でも皮膚がはがれてしまう。表皮剥離と呼ばれることが多いが、正確には皮膚剥離または皮膚剥脱創が正しい。スキンテアと呼ぶこともある。
- 皮膚に貼ったテープを剥がしたり、転棟、ベッド柵にぶつけた、などのエピソードでスキンテアになることが多い。
Step by Step
■ Step 1
- 通常、室内での受傷が多いため、生理食塩水による洗浄で十分なことが多い。汚染があれば1%Eキシロカインで局所麻酔をしてから洗浄する。
- 剥がれた皮膚を鑷子で元の位置に戻す。
剥脱皮膚下の血腫は感染源や生着不良の原因となるため除去する。
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■ Step 2
- 縫合をすると裂けてしまいそうなペラペラの皮膚剥脱創にステリストリップはよい適応である。
- ステリストリップは微小多孔性のレーヨン不織布でできており、フィラメント(線)で補強されている。
- 台紙を半分はがして、無鉤鑷子でつかんで貼り付ける。
ステリストリップによる処置では、処置後の洗浄がしづらいなどの欠点がある。深い創や汚染・感染創には使用しない。
関節可動部上のキズに使用する場合、剥がれやすいため、シーネ外固定を併用するなどの工夫が必要である。
キズの周囲の健常皮膚に血液や油分が癒着しているとくっつきづらいため、アルコール綿などできれいにふきとる。
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ステリストリップ 3Mヘルスケア
■ Step 3
- 今回はさらにアクアセルAgを貼付した。アクアセルAgは吸水作用の強いハイドロファイバーに銀イオン(Ag)をプラスした抗菌性創傷被覆材である。創面からの浸出液を吸収するとともに銀イオンを徐放し、抗菌効果を発揮する。
創傷被覆材を使用する場合は「皮膚欠損創」の病名入力が必要となる。
ステリストリップの上からフィルムや創傷被覆材で被覆して湿潤環境にすると、浸出液や血液でステリストリップがはがれてしまう。ドライ(乾燥させる)管理が望ましい。
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■ Step 4
- 当日は、絆創膏 or ガーゼの上からの保冷材による冷却を指示する。
- 5〜7日で剥脱皮膚は植皮の要領で生着する。
1週間後。剥脱した皮膚は植皮の要領で100%生着している。
■ Step 5
- スキンテアは高齢者の日常生活・入院生活で発生することが多く、予防が重要である。
- 予防で大切なのは
(1) 保湿:特に高齢者では1日2回以上の保湿が推奨されている。 (2) 保護:好発部位である四肢をストッキネット、アームカバー、レッグウォーマーなどで保護する。 (3) 環境整備:体がぶつかりやすい場所(ベッド柵など)をカバーする。
ダーマカバー(上肢用) マツヨシ
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■ 処方箋
- ケフラールカプセル(250mg) 1回1錠 1日3回 毎食後 3日分
- ロキソニン錠(60mg) 1回1錠 1日3回 毎食後 3日分
- ムコスタ錠(100mg) 1回1錠 1日3回 毎食後 3日分
- ヒルドイドソフト軟膏0.3% 25g 1本 1日数回塗布
■ コスト
- 創傷処置 < 100cm2(J000)