Key Point Summary
ばね指の保存療法として、腱鞘内ステロイド(ケナコルト)注射は有用である。
腱鞘内ステロイド注射は1指に対して2(〜3)回まで。
糖尿病に起因するばね指に対して腱鞘内ステロイド注射はオススメしない(=禁忌に近い)。
Q & A
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Outline
【ケナコルト】
- 中力価のステロイド注射薬で、注射部位の炎症を抑える効果がある。
- ケナコルトは生体内で難溶性であるため、組織吸収が遅い。そのため注射部位に留まり、長期的(2週間〜1ヶ月程度)に抗炎症効果を発揮する。
(高野恵雄, ほか.持続性ステロイド剤. 臨床と薬物治療1989;8:85-89.)
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- ケナコルト-Aの投与量に関しては、5〜10mg/回とするDrが多い(20〜40mg/回だと多すぎて腱断裂のリスクが高まる)。ケナコルト-Aは、①50mg/5ml と ②40mg/1mlの異なる2種類があるので注意を要する。いずれも腱鞘内ステロイド注射の保険適応がある。
- 組成:1mlシリンジで、ケナコルト-A 50mg/5mLを0.5mL(5mg)と1%キシロカイン0.5mLを吸い、27G針で注射する。
- 副作用:腱の脆弱化(腱断裂の報告もあり)、感染、皮膚・皮下脂肪の萎縮

ケナコルト-A皮内用関節腔内用水懸注50mg/5mL

ケナコルト−A筋注用関節腔内用水懸注40mg/1mL

Step by Step
■ Step 1
- 触診でA1 pulley部を確認する。圧痛を伴うことが多い。患者に患指の屈伸運動をしてもらうとゴリゴリを触知する。

■ Step 2
- Step 1で確認したA1 pulley部に注射針を刺入する。この際、針先は腱鞘内を貫いて少し深めまで刺入する。
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■ Step 3
- 注射シリンジに軽く注入圧をかけながら、少しずつ抜き、抵抗のなくなったところ(=腱鞘内)で注入する。
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■ 施術後
- 注射用の絆創膏を貼付する。
- 当日は患部が濡れないように保護し、翌日〜は通常どおりに手を使用して可とする。
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