Key Point Summary
脂漏性角化症(seborrheic keratosis: SK)= 老人性疣贅。UVや皮膚の老化が原因。 RFナイフのラウンドループ電極の○の間に病変の山をひっかけて崩すように切除していく。 削切後は、擦り傷のようになるので、湿潤療法で上皮化させる。 炎症後色素沈着の予防として、UVケアとビタミンC内服が有用である。
Q & A
ラウンドループ電極
Outline
【原因】
- 紫外線(UV)や皮膚の老化(そのため老人性疣贅とも呼ばれる)。
【好発部位】
- 高齢者の顔(特にこめかみに好発する)。
【臨床所見】
- 肌〜茶〜黒色、境界明瞭、やや隆起、表面がザラザラ、大きさは数mm〜3cm程度。
- 患者は「最初、シミだと思っていたら急に盛り上がってきた」「痒いときがある」と言うことがある。
【診断】
- 通常は臨床所見(外観)のみで診断できる。
- ダーモスコピーで診断できれば、なおよい。
日光角化症、ケラトアカントーマ、Bowen病、基底細胞癌、悪性黒色腫などとの鑑別を要することがある。診断が不確かな場合は必ず病理検査をおこなう。
全身に脂漏性角化症が急激に多発し、痒みを伴う場合はLeser-Trélat (レゼル・トレラ)徴候と呼ばれ、内臓悪性腫瘍合併の可能性がある。
【 治療】
- 必ずしも治療の必要はないが、自然消退はなく加齢とともに増加するため外観上の問題がある。
- 手術による切除→病理検査に出すことで確定診断がつく。臨床所見で鑑別に迷ったら手術をお勧めする。
- 手術以外の治療法としては、
→ 凍結療法=液体窒素(何度か通院が必要、色素沈着に注意)
→ CO2レーザー治療(自費治療)
→ 電気外科的治療、などがある。
液体窒素は簡便であるが、何回か通院を要し、早く治そうとして強く当てすぎると色素沈着が目立つので注意が必要である。
Step by Step
【電気外科的治療】
- RFナイフ(高周波ラジオ波メス)を使った切除法を紹介する。RFナイフは高密度なエネルギーの集中により熱侵襲範囲を抑え、微細な切開・凝固を可能にする低侵襲な電気メスといえる。
(株式会社ellman-Japanのホームページ:RFナイフを使った皮膚疾患症例治療の動画)
- 先端を付け替えることができる。ボール電極、ダイヤモンド型ループ電極、ラウンド型ループ電極などがある。
■ Step 2: RFナイフで削切する。
- ラウンドループ電極の○の間に病変の山をひっかけて崩すように切除していく。真皮に達するとわずかに血が滲む。この層まで削れば病変部はほぼ除去できる。
再発の可能性、炎症後色素沈着のリスクを説明しておく。
切除時、真皮をえぐり過ぎないようにする。創上皮化が遅れ、肥厚性瘢痕化するため。ループの面を皮膚表面と並行になるようにして層状に切除すると、真皮にキズがつきづらい。
■ Step 3:
- 当日は、ゲンタシン軟膏塗布、ガーゼ保護して軽く圧迫する。
削切直後。擦り傷のような状態になる。
■ Step 4 術後
- エキザルベ軟膏を外用しその上から肌色テープ(サージカルテープ)を貼付する、or デュオアクティブETなどでwet dressing管理にすることで約1週間で上皮化する。
- 炎症後色素沈着の予防のためにUVケアが必要であり、シナール内服も効果がある。ハイドロキノンを外用することもあるが自費になる。
エキザルベはわずかにステロイドを含有する。レーザー治療後など、美容外科領域で頻用されている。
肌色テープには紫外線予防効果があり、貼付することで色素沈着の予防につながる。
■ 処方箋
- エキザルベ軟膏5g 1本
- シナール錠(200mg) 1回1錠 1日3回 毎食後 1〜3ヶ月単位
エキザルベ
■ コスト
- いぼ焼灼法(J055)