ER 皮膚科

【診療Tips】蜂窩織炎

Key Point Summary

蜂窩織炎は、真皮〜皮下脂肪の急性化膿性感染症である。

抗生剤の投与に加えて、患肢の安静、挙上、冷却が大切である。

リバ湿布はエビデンスがない。

 

 

Q & A

レジデント
蜂窩織炎に「リバ湿布」って効果あるんですか?

リバ湿布...懐かしい。正式にはリバノール湿布だね。アクリノールを浸したガーゼを患部に貼付し、その上から油脂でカバーする方法。蜂窩織炎にたいするリバ湿布はエビデンスがない処置とされているよ。
指導医

レジデント
蜂窩織炎の治療はどうしたらいいんでしょうか?

抗生剤は大切だね。その他に、安静、挙上、冷却が大事だよ。RICE処置と同じだね。
指導医

 

 

Outline

【病態】

  • 真皮&皮下脂肪(=蜂窩織と呼ぶ)細菌が侵入・増殖して生じる急性感染症である。
  • 黄色ブドウ球菌やレンサ球菌が原因のことが多いが、真菌、インフルエンザ菌、Vibrio vulnificus、パスツレラ菌なども報告されている。
  • 原因:

①皮膚のバリアが破綻:外傷、虫刺されの掻き壊し、アトピー性皮膚炎

②循環障害:リンパ浮腫静脈還流障害

肥満

易感染性宿主: 糖尿病や抗癌剤治療中)

⑤ 皮膚感染症: 足白癬

  • 症状:局所の紅斑、浮腫、熱感、圧痛である。経過中に膿瘍形成することがある。菌が全身に及ぶと発熱、関節痛などを認める。

左上肢の発赤、熱感、腫脹、圧痛を認める。

よくみると左中指MP関節の背側に挫創がある。細菌の進入経路と思われる。

 

蜂窩織炎は比較的浅い層の感染なので、皮膚に症状がでやすく診断しやすい。一方で、壊死性筋膜炎(最近では壊死性軟部組織感染症と呼ばれる)は皮膚に症状がでづらく、見過ごすと致死的となる重症感染症なので、絶対に見逃さないことが大切だよ。 皮膚所見をこえて圧痛を認め、意識・呼吸・循環が崩れ、急速に進行する場合は、壊死性筋膜炎を強く疑うよ。疑ったら迷わずに救命救急センターに連絡しよう。
指導医

壊死性筋膜炎の診断補助ツールとしてLRINEC scoreが有用だよ。
指導医

 

【検査】

  • 血液検査:WBC↑、好中球核の左方移動、CRP↑。
  • 細菌培養:膿瘍形成をした場合は膿汁の細菌培養検査をおこなう。皮膚のスワブ培養は常在菌を検出するのみで意味がない。
  • 血液培養:発熱など全身症状を有する場合。
  • CT:必須ではなく、あくまでも補助診断。皮下脂肪の腫脹と混濁を認める。

 

【治療方針】

  • 抗生剤の投与。
  • 患肢の安静、挙上、冷却。
  • 原因が分かっている場合は、その治療をおこなう。

 

【処方箋】

【入院】

  • セファゾリンNa点滴静注用1gバッグ 1回2g 8時間ごと

【外来】

  • ケフラールカプセル(250mg) 1回2カプセル 1日3(〜4)回 毎食後(&寝る前)

黄色ブドウ球菌が原因菌のことが多いのでグラム陽性菌に効果の高いセフェム系第1世代を第1選択にすることが多いよ。
指導医

 

 

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