Key Point Summary
屈筋腱:母指は、FPL 1本のみ。示〜小指は、FDSとFDP 2本ずつある。 FDSの断裂 → 第2関節が屈曲できない → FDS test陽性。 FDPの断裂 → 第1関節が屈曲できない → FDP test陽性。 ERで指の切創を診察する際に、指の感覚(神経断裂の有無)とFDS・FDP test(腱断裂の有無)は必ずチェックしよう。
Q & A
Outline
【解剖】
- 母指の屈筋腱は、⻑母指屈筋腱(FPL)の1本のみ。母指末節骨底に停止し、母指IP関節とMP関節の屈曲をする。
- 示指〜小指は中節骨底に停止する浅指屈筋腱(FDS)と末節骨底に停止する深指屈筋腱(FDP)からなる。
- FDSは、中節骨底に停止しているので、前腕にある筋肉が収縮するとPIP関節が屈曲する。さらに筋肉が収縮すると、MP関節の屈曲、手関節の掌屈にも関与する。
- FDPは、末節骨底に停止しているので、前腕の筋肉が収縮するとDIP関節が屈曲する。さらに筋肉が収縮すると、PIP関節の屈曲、MP関節の屈曲、手関節の掌屈にも関与する。
【診断】
- FDS、FDPの断裂がないかを確認する方法として、FDSテスト、FDPテストを覚えておきたい。
- FDS単独断裂:指の自動屈曲は可能。FDS testは陽性である。
- FDP単独断裂:DIP関節の屈曲は不能で、PIP関節の屈曲は可能。FDP testは陽性である。
他の3指を伸展位に保持した状態で、患指のPIP関節が屈曲できれば陰性(=FDSは切れていない)となる。PIP関節が屈曲できなければFDS test陽性となる。
DIP関節が屈曲できれば陰性(=FDPは切れていない)となる。DIP関節が屈曲できなければFDP test陽性となる。
ポイント FDSの断裂=第2関節(PIP)が屈曲できない=FDS test陽性 FDPの断裂=第1関節(DIP)が屈曲できない=FDP test陽性