ER 形成外科 皮膚科

【Step by Step 手術手技】爪下異物

Key Point Summary

爪下異物では、異物の端が見えている場合を除いて、指ブロック下で処置をおこなう。

指先への局所麻酔は激痛なので、指ブロックを選択したほうがよい。

摘出には異物鑷子が便利。

 

 

 

 

Q & A

 

レジデント
爪下異物を摘出する際には全抜爪するんですか?

感染を併発をしているなど特殊な場合を除いては、部分的 且つ 最小限の爪の切除でいいよ。
指導医

レジデント
指ブロックは必須ですか?

異物の端がみえていて異物鑷子で把持できそうなら、まず無麻酔でトライしてもいいね。ただ、指先の処置は強い痛みを伴うので、無理はせずに指ブロックしてから処置をしたほうが、患者満足度は高いことが多いよ。
指導医

 

 

Outline

【解剖】

  • 通常、異物は爪甲と爪床の間に存在する。

爪の解剖

 

 

【診断】

  • 木片や棘が原因のことが多い。
  • 視診と病歴聴取で診断がつき、特別な検査は要さないことが多い。

病歴を詳しく聴取するのが重要。何が刺さったかが推定できる。

爪下血腫を疑う場合は末節骨骨折の有無をレントゲンで確認する。

明らかな外傷歴がない場合の爪黒色班は、悪性黒色腫や爪黒色線条(=爪のホクロ)との鑑別を要する。鑑別にはダーモスコピーが有用なため、自分で診断が難しければ皮膚科に紹介する。

 

爪下異物(木片)



ダームライトDL-100は、非接触のダーモスコープである。小型、軽量、比較的安価で初心者でも使いやすい。ダームライトの上位機種では、デジカメやiphoneと接続して撮影(写真&動画)が可能である。

 

 

Step by Step

■ Step 1 

  • 異物鑷子を準備する。
  • 異物の端を鑷子で把持できれば無麻酔で引き抜いてもよいが、通常は痛み止め(=指ブロック)を併用したほうが処置がしやすく、患者にも優しい。

異物鑷子



■ Step 2

  • 1%キシロカイン10ccで指ブロック注射する(患部への局所麻酔注射は激痛のため、指の基部にブロック注射をする)。
  • 麻酔がきくまで3分待つ(感染を併発しているなど、炎症が強いときくまでに時間がかかる)。

指ブロック

 

 

■ Step 3 

  • 異物の端が把持できない場合は、下写真のように爪の一部を最小限でカットする。

爪を一部カットして異物端を露出させる

 

 

■ Step 4

  • 異物鑷子で把持する。

異物鑷子で異物(木片)の端を把持する

 

 

■ Step 5

  • 把持した異物をゆっくりと引き抜く。


刺さってから数日以上経過した症例では、木片がくずれやすく、爪下に残ってしまう場合がある。その場合は、爪甲除去範囲を広げて異物を確実に除去する。指タニケットも併用したほうが無血野で処置がしやすい。

異物をゆっくりと引き抜く。

 

 

■ Step 6

  • 生食で洗浄する。

 

■ Step 7

  • ゲンタシン軟膏を塗布し、ガーゼをあてて、布テープで固定する。

 

■ Step 8

  • 当日は、安静、患部冷却、患手挙上とする。
  • 翌日〜自宅処置(シャワー洗浄、軟膏、ガーゼを1日1回)を開始する。通常は2〜3日で浸出はなくなり上皮化する。
  • 破傷風トキソイドの接種を検討する。


通常は再診不要である。ただし、感染徴候(発赤、熱感、腫脹、疼痛)認めたら、早めに再診するように説明しておく。

 

■ 処方箋

  • ケフラールカプセル(250mg) 1回1錠 1日3回 毎食後  3日分
  • ロキソニン錠(60mg) 1回1錠 1日3回 毎食後 3日分
  • ムコスタ錠(100mg) 1回1錠 1日3回 毎食後 3日分
  • ゲンタシン軟膏 10g 1本

 

■ コスト


手掌・足底異物摘出術(K097)は、異物が深い位置にあり、麻酔や切開を要するものが対象となる。爪下異物は通常、創傷処置で請求する。

 

 

 

■ 関連記事

-ER, 形成外科, 皮膚科
-, , , ,

© 2022 マイナー外科・救急 Powered by AFFINGER5