Key Point Summary
真皮の血流を最大限にすることで創治癒は促進する。
創縁の真皮に張力がかかると術後瘢痕は異常瘢痕(肥厚性瘢痕やケロイド)が生じやすくなる。
真皮縫合時の創縁の真皮に緊張がかからないようにするために、深部の浅筋膜や深筋膜レベルで層を閉じる方向に寄せ、創縁の真皮にかかる緊張を最小減にするのがポイントである。
Q & A
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Outline
【真皮縫合】

真皮よりも深層の筋膜(浅筋膜or深筋膜: 水色)レベルで寄せて、真皮縫合する際の創縁真皮の張力を最小減にする。これを筋膜縫合と呼ぶ。

筋膜に縫合糸をかけた状態。この段階で創縁の真皮同時は近づき、やや外反する。必要に応じて、筋膜の下を剥離すると創縁はゆったりと移動しやすくなる。

真皮縫合の糸をかける。創縁真皮にたいして、針は常に垂直に刺入する。針先は天井である表皮側に垂直にむかうイメージ。

図で示した三角を意識しながら針を進める。天井である表皮に垂直に向かっていた針先を、急激に返すイメージ。

その結果、図のようなハート型の運針になる。結紮するさいに力いっぱい縫合しない。常に創縁の血流を意識する。
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真皮縫合した直後。創縁はやや外反した状態になる。

この段階で創縁がきれいに合っていれば、表層縫合は必ずしも必須ではなくファスナートやステリストリップでもよい。

もちろん表層縫合してもよいが、創縁の血流を阻害しないように細い針で創縁を合わせる程度にする。
Step by Step
■ Step 1
- 炎症性粉瘤を切除後の背部の皮膚欠損を縫合する。
■ Step 2
- 浅筋膜(or 深筋膜)を同定する。

有鉤摂子で浅筋膜を把持している。
■ Step 3
- 浅筋膜を3−0バイクリルで縫縮する。
- 真皮よりも深い層(浅筋膜 or 深筋膜)で組織を寄せることで創縁は自然と盛り上がり、やや外反する。
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3-0 バイクリルで浅筋膜を縫縮する。

浅筋膜を縫縮した時点で創縁は近寄り、やや外反しているのがわかる。
■ Step 4
- 4−0PDSで真皮縫合する。
鑷子で創縁を把持して挫滅させないように注意を払う。創縁を外反させるために、有鉤摂子の鉤でひっかけるか、スキンフックを使用するとよい。

創縁を外反させるときに創縁を鑷子で把持して挫滅させないようにする。

反対側の真皮に針を刺入するときは、真皮にたいして垂直に刺入するようにし(この際、創縁を極力外反したほうがやりやすい)、前述の三角形を意識したハート型の運針をする。

創縁真皮にたいて針先を垂直に刺入して、真皮浅層で急激に反転して返ってくるイメージ。
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■ Step 5
- 真皮縫合直後に創縁が密着しているのが理想的な縫合である。
- 表層縫合は極端な話、不要である。
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■ Step 6
- 6−0ナイロンで表層縫合する。

針先は常に皮膚にたいして垂直に刺入する。

創縁のズレ微調整する。創縁の血流を阻害するような力いっぱいの縫合は避ける。
■ Step 7
- 表層縫合後。
- ステリストリップを併用すると、創縁に不要な緊張がかかった時に、減弱することができる。

ステリストリップは縫合創に対して垂直に貼付する。

ステリストリップはあえて間隔をあけて貼付する。密閉してしまうと、創縁からの血液を閉じ込めてしまう可能性がある。
■ Step 8
- 浅筋膜を3−0バイクリルで縫縮する。
- 真皮よりも深い層(浅筋膜 or 深筋膜)で組織を寄せることで創縁は自然と盛り上がり、やや外反する。

ガーゼをあてがう。

被膜スプレーを散布する。

布テープでガッチリと固定する。