Key Point Summary
5-flap z plasty = Y-V flap + z plasty + z plasty 5-flap z plasty は、指間や腋窩など、窩(くぼんだ部位)の拘縮ラインの解除に特に有用である。 第1指間に用いるときには、z plastyの一辺が1〜1.5cm程度、角が60°になるように作図するとよい。
Q & A
Outline
【5-flap z plasty】
- まず拘縮ライン上に線をひく(青)。
- YV flapを作図する(要は拘縮ラインを皮弁で分断する)(黄)。
- (皮弁B,Cの移動先を作るように)YVの両側に、z plasty(赤)を作図する。
Step by Step
■ Step 1
- 右手背橈側に皮弁移植後である。第1指間に皮弁辺縁が一致し、瘢痕拘縮をきたしており、第1指間の開大制限を認める。
- 5-flap z plastyによる瘢痕拘縮解除を計画した。
■ Step 2
- 皮膚を全層で切開する。
- 皮弁を筋膜上で挙上する。
まず拘縮ライン(前述シェーマの青ライン)から皮膚切開すると、皮弁が挙上しやすい。
三角弁の尖端が、細くなりすぎたり、薄くならないようにメスを皮膚に対して垂直に刺入することを意識する。さらに、尖端を鑷子などで摘まんで挫滅させないように注意する。
■ Step 3
- 母指内転筋や第1背側骨間筋に瘢痕が及んでいないか確認し、あれば瘢痕を切除する。
- 瘢痕拘縮を解除した段階で、第1指間の開大が不十分の場合は、深部の筋膜が拘縮の原因になっている可能性がある。その場合は、筋膜を切開して第1指間を開大させる。
■ Step 4
- 5つの皮弁を移動し、5−0ナイロンで皮膚縫合する。
- その際、皮弁のトリミングを要する(特に、前述シェーマの皮弁Dと皮弁E)。
ナイロン糸をかける際に、三角弁の尖端すぎる部分は避ける。創離開のリスクが高まるためである。
■ Step 5
- 母指を最大掌側外転位に保持して、第1指間のにさばきガーゼを十分量挟み込み、包帯で固定する。
シーネ外固定は必ずしも必要ではないが、術後の挙上を維持しやすいため著者は好んで使用している。
■ 術後
- 当日は、患部の安静、冷却、挙上を徹底する。
- 術翌日に、ドレッシングをはずして、血腫がないか、皮弁血流が問題ないかを確認する。ペンローズドレーンを留置していれば抜去する。
- 縫合創が安定するまで(術後1〜2週)は、第1指間の動きは制限する。連日の処置は不要であり、2〜3日に1回の処置(シャワー or 水道水洗浄、ゲンタシン軟膏、第1指間のさばきガーゼ、包帯固定)で十分である。
- 抜糸は術後2週間が目安である。
- 抜糸後、日中はフリーとする。夜間は第1指間の手術痕上にエクラープラスター(ステロイドテープ)を貼付し、その上から母指の最大掌側外転を保持するスプリントをあてがう。スプリントはオルソグラス2 or 3号を用いて自分で作成するか、作業療法士(OT)さんや装具士さんにオーダーメイドで作成依頼をする。
■ 処方箋
- ケフラールカプセル(250mg) 1回1錠 1日3回 毎食後 5日分
- ロキソニン錠(60mg) 1回1錠 1日3回 毎食後 5日分
- ムコスタ錠(100mg) 1回1錠 1日3回 毎食後 5日分
- ゲンタシン軟膏 10g 1本
■ コスト
- 瘢痕拘縮形成術(K010-2)
■ 長期経過