Key Point Summary
陥入爪=爪の側縁が側爪郭に食い込んで炎症をおこした状態。 陥入爪は、①爪に原因がある場合と、②軟部が腫れて爪が相対的に食い込む場合がある。①②はお互いがお互いの原因となって悪循環サイクルに入りやすい。 陥入爪は種々の原因があるため、原因にあわせて治療法を選択する。 感染を伴うような重症型は、まずは悪循環を断ち切るために陥入した爪(爪棘)をカーブ状に切除すると劇的に痛みが消失する。
Q & A
典型的な陥入爪。爪は平らで深爪が原因のことが多い。
典型的な巻き爪。爪の形が巻いている。食い込んでいる部分が痛くなれば"巻き爪に陥入爪を合併した"という。
Outline
【定義】
- 陥入爪 = 爪の側縁が側爪郭に食い込んで炎症をおこした状態。
- 爪周囲の感染や化膿性肉芽腫を伴うことがある。
【病因】
【爪に原因がある】 【軟部が腫れて爪が相対的に食い込む】
【治療】
【保存的治療】
・テーピング法:爪が食い込まないように軟部をひっぱる
・コットン充填法:爪が軟部を乗り越えるように浮かせる
・ガター法:爪が軟部に食い込む部分を保護する
・アクリル人工爪:爪が軟部を乗り越えるようのを補助する
・ワイヤー法:巻き爪のように弯曲が原因で陥入している場合に爪の弯曲を弱める
【外科的治療】
- フェノール法:爪の幅を狭くする
- 陥入爪根治手術:幅を狭めたい部位の爪母をメスで切除する
感染を伴った重症型に対する部分抜爪法
■ Step 1
- 1%キシロカイン10ccで足趾ブロック注射する(患部への局注は激痛のため、趾の付け根にブロック注射する)。
- 麻酔がきくまで3分待つ。
- その間にモスキートペアンとメイヨー剪刀(先端が鈍なもの)を準備する。
■ Step 2
- モスキートで食い込んでいる爪(通常2〜3mm)とその周囲の皮膚を剥がす.
モスキートの先端を後爪郭と爪の間にグッと5mmほど押し込んで、ゆっくりと先端を広げることで剥離する。
■ Step 3
- モスキートを食い込んでいる爪の下(=爪床の上)にグッと押し込む。
爪の根元(爪母の位置まで)まで十分押し込んで剥離するのがコツ。
■ Step 4
- メイヨー剪刀で食い込んでる爪を縦方向にカットする。
- すると食い込んでいた爪が容易に部分抜爪される。
縦方向のカットは、側爪郭に沿った直線ではなく、下の青線のようにカーブを描くように食い込んだ爪を切除する方法が推奨されている。
部分抜爪はあくまでも応急処置なので将来的に爪はまた生えること、日常生活での予防が大切であることを患者さんに説明しておく。
■ Step 5
- 止血材(ソーブサン or カルトスタット or アルジサイトAg)とガーゼをあてて、布テープでガッチリと固定する。
■ Step 6
- 当日は自宅内で安静にし、足台やクッション等で患足を挙上し、保冷剤で1〜2時間冷却する。
- 当日は入浴、お酒、激しい運動は×だが、翌日以降はフリーとする。
手術後すぐに歩くと出血がガーゼ表面まで染み出てくることがあるので、10分ほど待合室のソファーで足を挙げて休んでから帰宅を許可する。
■ 処方箋
- ケフラールカプセル(250mg) 1回1錠 1日3回 毎食後 3日分
- ロキソニン錠(60mg) 1回1錠 1日3回 毎食後 3日分
- ムコスタ錠(100mg) 1回1錠 1日3回 毎食後 3日分
- リンデロンVG軟膏 5g 1本(or 感染が強ければ イソジンゲル 4g 1本)
■ コスト
- 爪甲除去術(麻酔あり)(K089)