形成外科 皮膚科

【診療Tips】皮膚粗鬆症(Dermatoporosis)について

皮膚粗鬆症とは?

  • 2007年にKatya & Sauratが提唱した概念で、加齢や薬剤によって皮膚が慢性的に脆弱化した状態を指します。

  • 「骨粗鬆症の皮膚版」とも呼ばれています。

 

臨床症状(5つの特徴)

  1. 皮膚の萎縮

  2. 紫斑

  3. 偽瘢痕

  4. スキンテア(皮膚裂傷)

  5. 最重症型:深部解離性血腫(DDH)

典型的な皮膚粗鬆症(紫斑、偽瘢痕、萎縮)

典型的な皮膚粗鬆症(紫斑、偽瘢痕、萎縮)

 

 

スキンテアとは?

  • 摩擦やズレによって弱くなった皮膚が裂け、真皮深層まで損傷する外傷性創傷。

  • 高齢者や皮膚粗鬆症患者に多く発生。

スキンテア

スキンテア

 

高齢化と皮膚粗鬆症

  • 日本では2070年に高齢化率が39%に達すると推定されています。

  • 高齢化に伴い、皮膚粗鬆症の患者数は今後さらに増加する見込みです。

 

適切な治療を行わない場合のリスク

  • 疼痛・精神的ストレス → QOL低下

  • 感染リスク → 蜂窩織炎などへ移行

  • 医療負担増大 → 看護時間・治療資材・入院日数の増加

 

まとめ

  • 皮膚粗鬆症は高齢化社会で重要なテーマ。
  • スキンテアを予防・適切に管理することが、QOL医療資源の両面で意義がある。

 

スキンテアは高齢化に伴い増加しており、適切な創傷被覆材の選択が治療成績と患者さんのQOLに直結するよ。従来のガーゼやテープでは皮膚にダメージを与えることもあり、肌にやさしく滲出液管理も可能なシリコン素材のドレッシング材が推奨される。その点で、メピレックスシリーズはおすすめだよ。
指導医

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小野真平(形成外科医)/ Shimpei Ono(Plastic Surgeon) 

日本医科大学形成外科学教室 准教授/医師。Advanced Medical Imaging and Engineering Laboratoryを主宰。 手足の形成外科、マイクロサージャリー、再建外科を専門とし、臨床・研究・教育に従事。可動式義指の開発、VR教育、3D超音波や医用画像工学の応用、PROsを重視した研究を展開。 美術解剖学や医療イラストレーションにも造詣があり、芸術と医学の融合をテーマに講演・執筆。教育活動では学生・研修医指導のほか、東南アジア医学研究会(Ajiken)部長として国際医療交流・災害医療にも取り組む。

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