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【診療Tips】ジクトル®テープの正しい位置づけ ― 手指変形性関節症を例に

はじめに

  • ジクトルテープ®(ジクロフェナクナトリウム経皮吸収型製剤)は、NSAIDsの一つで、貼付部位から有効成分が血中に吸収され、全身に作用する全身作用型の貼付剤である

 

ジクトルテープの特性

  • 全身作用型:経皮吸収された有効成分が血中へ入り、全身に分布

  • 効果:内服NSAIDsに近い鎮痛・抗炎症作用

  • 用法1日1回1~2枚を24時間ごとに貼り替え

ジクトルテープは痛いところに貼る湿布薬ではなく、全身作用型の貼付剤だよ
指導医

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「湿布薬」との違い

  • 湿布薬(局所作用型):清涼感や冷却感を伴い、貼付部位の局所に作用

  • ジクトルテープ(全身作用型):貼った場所に関係なく、全身の痛みに効果を示す

「痛い関節に直接貼らないと効かない」という誤解を避ける必要があるよ
指導医
ジクトルテープは処方薬だけど、市販では同じジクロフェナク成分を含むボルタレンEXテープが販売されてるよ。ボルタレンEXテープは痛いところに貼らないと聞かないよ。
指導医

 

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手指変形性関節症における位置づけ

  • EULAR 2022 ガイドライン:手指OAには局所NSAIDs(ゲル・湿布)が第一選択

  • ただし、高齢者や多関節に痛みを有する症例では、内服NSAIDsを避けたい場合の全身作用型NSAIDsとしてジクトルテープが選択肢となる

  • 実臨床の使い分け

    • 単関節OA → 局所NSAIDsで十分

    • 多関節OA(特に内服リスクがある患者) → ジクトルテープが有効

手も肩も膝も痛い高齢者に特に有用だよ。
指導医

 

副作用と注意点

  • 皮膚局所:紅斑・かぶれ・掻痒感(貼付部位を変えることで予防)

  • 全身性(まれだが注意):消化管障害、腎障害、心血管イベント

  • 妊婦または妊娠可能性のある女性には禁忌

  • 他のNSAIDs製剤との併用は原則避ける

 

まとめ

  • ジクトルテープは「痛いところに貼る湿布薬」ではなく、貼った部位から全身に作用するNSAIDs製剤である。
  • 手指変形性関節症では、局所NSAIDsが第一選択である一方、内服が難しい患者にとってジクトルテープは安全性と利便性を兼ね備えたオプションとなり得る。
  • 患者への指導では「痛いところに貼らなくても効く」ことを強調し、貼付部位・枚数を守るよう徹底することが重要である。

 

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ちなみに、手指の変形性関節症の痛みにはエクオール(商品名:エクエル)が効くことが多いよ。サプリメントなので病院での処方ではなく、薬局やネットで購入することができるよ。
指導医

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