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【診療Tips】手指の冷えと痛み対策:レイノー病・cold intolerance患者さんにおすすめの充電式ハンドウォーマー

はじめに

冬になると、手指が冷えて強い痛みやしびれを感じる方がいます。
特に、以下のような方は症状が悪化しやすく注意が必要です。

  • レイノー病(Raynaud病)やレイノー現象がある方

  • 指の外傷や切断、手術後の患者さん

  • 末梢の血流が悪くなりやすい方(糖尿病、膠原病など)

こうした患者さんの中には、寒い環境で指が急に白くなり、ズキズキとした痛み強い冷感を訴える方が多くいらっしゃいます。
この状態は、医学的にはcold intolerance(寒冷不耐症)と呼ばれます。

本記事では、血流を保ち、痛みを軽減するためのセルフケアアイテムとして、近年人気の充電式ハンドウォーマーをご紹介します。

 

レジデント
充電式カイロとも呼びますね!
そう、私も外来の患者さんに教えてもらったよ。
指導医

 

充電式ハンドウォーマー

 

Cold intolerance(寒冷不耐症)とは?

Cold intolerance とは、手指が冷えることで強い痛みやしびれが出る状態です。
特に以下の特徴があります。

  • 冷えにより血管が急に収縮 → 指先への血流が極端に減少

  • 組織が酸素不足になり、痛みやしびれが生じる

  • 血流が戻る際にズキズキする強い痛み(reperfusion pain)を感じることもある

  • ちょっとした冷風や冷水にも反応しやすく、日常生活に支障をきたすことがある

これは指先だけでなく、神経や血管が過敏になっている状態で、外傷後・手術後にもよく見られます。

 

なぜ温めることが大切なのか

指先が冷えると、末梢血管が収縮し、さらに血流が悪化してしまいます。
この悪循環を断ち切るためには、早めに温めて血流を保つことが非常に重要です。

温めるメリット:

  1. 血管が拡張して血流が改善

  2. 酸素や栄養が行き届き、痛みやしびれが軽減

  3. 組織の回復や術後リハビリにもプラス効果

  4. 発作(レイノー発作)の予防につながる

 

充電式ハンドウォーマーの魅力

冬の冷え対策といえば使い捨てカイロが定番ですが、最近はUSBで充電できる電気式ハンドウォーマーが注目されています。

特徴

  • 充電式で繰り返し使える → 経済的でエコ

  • 短時間で発熱 → 外出前や通院前にサッと温められる

  • 温度調節が可能 → 強すぎない温度で安全に使用可能

  • ストラップ付きで携帯しやすい → バッグやポケットに収納しやすい

  • モバイルバッテリー機能付きタイプもあり → スマホ充電にも使える

 

使用方法と注意点

血流障害がある患者さんは皮膚が繊細で傷つきやすいため、安全に使うためのポイントがあります。

注意点 詳細
直接長時間当てない タオルや薄い布を挟み、低温熱傷を防ぐ
温度は中程度から開始 初めて使用する際は温度を上げすぎない
濡れた手では使用しない 感染ややけどのリスク
就寝中は使用しない 気づかないうちに熱がこもる可能性
症状悪化時はすぐに中止 皮膚が赤くなる、強い痛みが出る場合は使用を中止し、医師に相談
低温熱傷には要注意だよ。冬の外出時などに使用するといいね。
指導医

 

外出時の活用例

  • 外来受診前に手を温める → 診察で指先の血流を確認しやすくなる

  • 外出時のポケットに入れて持ち歩く → レイノー発作の予防

  • リハビリ前に温める → 指が動かしやすくなり、リハビリ効果が上がる

 

まとめ

レイノー病や指外傷後のcold intoleranceは、冷えが強い痛みを引き起こすつらい症状です。
その対策として、手軽に使える充電式ハンドウォーマーは大変有効です。

ただし、使用時には低温熱傷を避けるための工夫が必要です。
日常生活で「指を冷やさない」ことを心がけ、症状が強い場合は医師に相談しましょう。

冷え対策を取り入れることで、冬も快適に過ごすことができます。

 

充電式ハンドウォーマーは、手軽に血流を保ち、症状を軽減できる便利なアイテムだよ。
指導医

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小野真平(形成外科医)/ Shimpei Ono(Plastic Surgeon) 

日本医科大学形成外科学教室 准教授/医師。Advanced Medical Imaging and Engineering Laboratoryを主宰。 手足の形成外科、マイクロサージャリー、再建外科を専門とし、臨床・研究・教育に従事。可動式義指の開発、VR教育、3D超音波や医用画像工学の応用、PROsを重視した研究を展開。 美術解剖学や医療イラストレーションにも造詣があり、芸術と医学の融合をテーマに講演・執筆。教育活動では学生・研修医指導のほか、東南アジア医学研究会(Ajiken)部長として国際医療交流・災害医療にも取り組む。

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