■ 先天性示指爪甲形成異常症 (congenital onychodysplasia of the index finger: COIF)
・報告例は少ない(120例程度)が、先天異常の外来をしていると時々診察する機会がある。知らないと診断に至らないので紹介する。
・先天的に主に両側示指爪甲の形成異常を認め、罹患示指のX線にて、指末節骨の側面像でY字型変形と正面像で末節骨の先細り構造が高率にみられることが臨床的特徴とされる疾患のこと。
・1969年、磯により提唱され、1974年菊地らにより命名された爪甲の先天異常で本邦での報告が多い。海外ではIso-Kikuchi syndromeとして認識されている。
・爪の形状としては、矮爪(矮=わい、短いという意味)、分裂(多爪)、無爪、片爪甲鉤弯症、方向不揃の5型に分類され多くは橈側が強く障害される。
・病因としては、異常グリップ説、胎生期の爪甲形成異常説、薬剤関与説、血行異常関与説や遺伝子関与説なども唱えられているが、よくわかっていない。性差はない。好発部位は示指。稀に遺伝性がある。
・治療法:足趾からの遊離複合移植術や血管柄付き爪移植、人工爪、義指など。
■ 参考文献
・礒良輔. 先天性示指甲欠損症とその形成手術. 臨整外1968;4:672-677.
・菊池一郎. Congenital onychodysplasia of the index fingers(COIF). 形成外科1975;18:87-88.
・辻卓夫. 先天性示指爪甲欠損(または形成不全)-1症例の報告と本邦報告例のまとめ-. 皮膚1988;30:748-752.
・小川基美ら. 先天性示指爪甲形成不全症に嚢胞状リンパ管腫を合併した1例. 皮膚 2000;42: 214-219.