Key Point Summary
Bruner's incision = 手掌側に作図するzig-zag incisionのこと。 Midlateral incision(Bunnell's incision) = 指の側面の側正中線(midlateral line)に沿った皮膚切開線のこと。 Midaxial incision = 骨軸に沿った皮膚切開線で、midlateral incision よりもやや背側に位置する。 指から手部方向に皮膚切開を広げる場合、手根管に向かって(屈筋腱の走行に沿って)zig-zagをデザインする。
Q & A
Outline
【Bruner's Incision】
- 定義:掌側に作図するzig-zag incisionのこと。
- 利点:皮弁(三角弁)の血流は安定してる。
- 利点:掌側の重要構造物(腱、神経血管束など)にアプローチしやすい。
- 欠点:キズアトが掌側にくるため、術後の一定期間、感覚障害(圧痛や異常知覚など)が生じやすい。
- 欠点:拘縮や癒着をきたす可能性がある。
皮膚切開線は、皮線(クリーセ:crease)にぶつかる度に向きをかえるとよい。皮線を直交する皮膚切開線は瘢痕拘縮をきたす。
三角弁の頂点は可能であれば側正中線のラインに一致させると拘縮をきたしづらい。
三角弁の頂点を鑷子などで鈍的に摘ままない。血流が最も不良な部分であり、同部が壊死して二次治癒すると瘢痕拘縮の原因になるため。
【Midlateral Incision】
- 定義:Bunnellが報告した指の側面の側正中線(midlateral line)に沿った皮膚切開線のこと。
- 利点:皮膚切開線の掌側に位置する神経血管束を温存しやすい。
- 利点:指の屈伸運動に際して、縫合創・手術痕に張力がかかりづらく、肥厚性瘢痕になりづらい。
- 利点:掌側と背側の両方の重要構造物にアプローチできる。
- 欠点:指動脈・指神経から背側に分岐する枝を切離しないといけない。
似たような切開として、midaxial incision が挙げられる。Midaxial incision は、骨軸に沿った皮膚切開線で、midlateral incision よりもやや背側に位置する。両者を混同して述べている教科書もあるので注意が必要である。
【手指手術における皮膚切開の実際】
- Bruner's incision(zig-zag incision)とmidlateral incisionを組み合わせる。
- 手掌の切開・キズアトを最小限にするために可能であればMidlateral incisionを第1選択にする。
指から手部方向に皮膚切開を広げる場合、手根管に向かって(屈筋腱の走行に沿って)zig-zagをデザインする。示指と小指では思いのほか正中側に皮膚切開線がくるので注意する。
皮膚切開線が掌側手首皮線(palmar wrist crease)をまたぐ時は、直交しないようにし、三角弁をいれると瘢痕拘縮の予防になる。
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