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【診療Tips】臨床写真の撮り方(上肢編)

Key Point Summary

手は基本の6枚+α、手関節は4枚(掌屈、背屈、橈屈、尺屈)、前腕は2枚(回内、回外)、肘関節は2枚(屈曲、伸展)を撮影する。

青背景でフラッシュ(できればリングフラッシュ)を使用して撮影する。

患者さんの個人情報に十分に注意する。

 

 

Q & A

 

resident
手の写真を撮るときの注意点を教えてください。

後述の6枚の写真(掌側・側面・背側のそれぞれグー・パー)を基本にしているよ。6枚のうち、掌を下に向けて指を伸ばした写真を撮る際には、手をテーブルから少し浮かせて撮るのが大切だよ。テーブルの上に手を置いてしまうと、機能障害がある指の動きが矯正されてしまうからね。
medical advisor

手はテーブルの上から少し浮かせて撮影する。

 

例えば右環指に伸展不全があった時、テーブルの上に手をのせてしまうとその機能障害がマスクされてしまう。

 

 

さらにその患者さんに特徴的な写真が必要であれば追加するようにしているよ。例えば、EPL再建術後の患者さんであれば、テーブルの上に掌をおいて母指を持ち上げる写真などを追加するよ。
medical advisor

EPL機能を評価するための追加写真

 

 

Outline

臨床写真の撮り方】

  • カメラの選び方は別稿にゆずる。
  • 背景は、青(or 緑)が望ましい。
  • 背景に青(緑)布を用いる際にはシワやヨレがないか注意を払う(術中であれば血糊も)。
  • 撮影時にはフラッシュを使用する。
  • リングフラッシュを併用するとよい。リングフラッシュは被写体にまんべんなく光をあてることで影ができづらくなる。
  • 写真を論文等で使用する際には縦横比が4:3のように指定されることがある。そのため、後でサイズを加工できるように、やや余白を含めて広範囲に写真撮影する癖をつたげほうがよい。
  • 写真撮影の前か後に患者さんの名前・IDを撮影しておくとよい。

外科医にとって臨床写真は単なる記録物ではなく宝物です。常にきれいな写真を撮影することにこだわろう。そして、個人情報には十分に配慮をしよう。
medical advisor

 

撮影時には基本的にはフラッシュを使用しよう。ちなみに接写状態でフラッシュを使うと光が強く当たった部位が白トビしてしまうため、被写体から少し距離を空けて光学ズームを効かせたうえでフラッシュを使うといいよ。
medical advisor

 

同じカメラで撮影したフラッシュ+(上)とフラッシュー(下)の写真。フラッシュを使用した方が、周りの照明や環境に影響されずに常に同じ条件で撮影でき、肌質が実際の皮膚に近い状態で撮影できる。

 

 

 

 

【手】

  • 下の6枚を基本とする。
  • 患側と健常側を比較するために両側撮影する。

指輪や時計ははずしてもらって撮影する。

手掌を下に向けて手指を伸展する場合(右上)、手を少し浮かせる。

指を握るとき(右下)、母指で示指を押さえないようにする。

手掌パー/側面パー/手背パー
手掌グー/側面グー/手背グー

 

 

【手関節】

  • 掌屈(屈曲)と背屈(伸展)を撮影する。
  • 橈屈と尺屈を撮影する。

掌屈(屈曲)

背屈(伸展)

両手で比較する場合は上のように撮影する。

 

橈屈

尺屈

 

 

【前腕】

  • 回内と回外を撮影する。
  • 肩の回旋が入らないように肘を90°に屈曲し、体幹に固定する。

回内

回外

 

 

【手関節】

  • 屈曲と伸展を撮影する。

屈曲

伸展

 

 

【参考資料】

 

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Shimpei Ono (Plastic Surgeon)

Associate Professor, Department of Plastic and Reconstructive Surgery, Nippon Medical School. He specializes in hand and foot plastic surgery, microsurgery, and reconstructive surgery, and is involved in clinical practice, research, and education. His research interests include the development of movable prosthetic fingers, VR education, application of 3D ultrasound and medical imaging engineering, and emphasis on PROs. He also has an interest in art anatomy and medical illustration, and lectures and writes about the fusion of art and medicine. In his educational activities, in addition to teaching students and residents, he is also involved in international medical exchange and disaster medicine as the director of the Association for Southeast Asian Medical Research (Ajiken).

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