Other plastic surgery

【診療Tips】縫合と吻合の違いとは?神経・腱・血管・腸管で使い分ける手術用語

はじめに

  • 手術記録や論文を書く際に、「縫合」か「吻合」か迷ったことはありませんか?

  • 特に、神経や血管を扱う分野では、用語選びを誤ると意味が変わることがあります。

  • 本記事では、形成外科・一般外科・手外科などでよく使う例を挙げながら、「縫合」と「吻合」の違いと使い分け方をわかりやすく解説します。

 

1. 縫合(Suture)とは

  • 一般的に切断された組織を糸で合わせることを指します。

  • 皮膚、腱、神経などはこの「縫合」が正しい用語です。

  • 英語では suture と表現されます。

例:

  • 腱縫合(tendon suture)

  • 神経縫合(nerve suture / neurorrhaphy)

  • 皮膚縫合(skin suture)

ポイント

管腔構造でない組織は基本的に「縫合」。

 

2. 吻合(Anastomosis)とは

  • 管腔構造(空洞をもつ構造)を持つ組織を、互いに接続することを指します。

  • 英語では anastomosis

管腔同士をつなぐので「吻合」になる

代表例:

  • 血管吻合(vascular anastomosis)

  • 腸管吻合(intestinal anastomosis)

  • 胆管吻合(biliary anastomosis)

ポイント

血液や消化物などの流れが継続する構造は「吻合」を使う。

 

まとめ

  • 「縫合」は管腔構造がない組織に使用

  • 「吻合」は管腔構造を持つ組織を接続するときに使用

  • 神経や腱は必ず「縫合」、血管や腸管は「吻合」

なんとなく「縫合」と「吻合」を使っていた人もいると思うけど、正しく使い分けることで、手術記録や学術論文の正確性が向上するよ。
medical advisor

 

  • This article was written by.
  • Latest Articles

Shimpei Ono (Plastic Surgeon)

日本医科大学形成外科学教室 准教授/医師。Advanced Medical Imaging and Engineering Laboratoryを主宰。 手足の形成外科、マイクロサージャリー、再建外科を専門とし、臨床・研究・教育に従事。可動式義指の開発、VR教育、3D超音波や医用画像工学の応用、PROsを重視した研究を展開。 美術解剖学や医療イラストレーションにも造詣があり、芸術と医学の融合をテーマに講演・執筆。教育活動では学生・研修医指導のほか、東南アジア医学研究会(Ajiken)部長として国際医療交流・災害医療にも取り組む。

-Other, plastic surgery
-, , , , , , , , ,

© 2025 Minor Surgery & Emergency Powered by AFFINGER5