Key Point Summary
指の挫創を診察では、血流(動脈)、動き(腱)、感覚(神経)の評価を怠らないようにする。
血行障害を疑う時は、その日のうちに緊急手術が可能な病院に搬送する。
神経・腱の損傷を疑う場合は、その日は皮膚縫合のみをおこない、翌日以降に手外科外来に紹介すればよい。
Q & A
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Outline
■ Step 1: 皮膚血流をチェックする
- 指は2本の指動脈で栄養されているので、2本ともやられていないと血流障害は生じない。
- 皮膚の色調:肌色であればOK、蒼白なら詳しくチェックをする。
- CRT(capillary refill time: 毛細血管再充満時間): 指先を圧迫し、白くなった部分が赤く戻るまでの時間を計測する方法。2秒以上かかるようであれば虚血(=不全切断)の可能性がある。
- Pin prick test:25〜27G針で指先を穿刺して、出血のスピードや色で血行状態を推測する方法。血流障害がない場合は新鮮血(赤色)がすぐにでる。暗紫色の血液がじんわりでる場合は虚血を疑う。
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開放骨折と不全切断の違い
■ Step 2: 指の動き(腱)をチェックする
- FDS test、FDP testで腱断裂の有無を確認する。
■ Step 3: 指の感覚(神経)をチェックする
- 指の橈側と尺側を交互にさわって感覚が違うか患者に確認する。
- 25〜27Gの針先を皮膚に軽く押し当てて(刺さない)、感覚の違いを確認する。
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■ Step 3: 指の感覚(神経)をチェックする
- 血流障害+(不全切断を疑う場合)は、その日のうちに緊急手術が可能な病院に搬送する。
- 腱や神経の損傷は急がないので、皮膚縫合して、翌日以降に手外科(or 形成外科、整形外科)のある病院に紹介でOK。
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指ブロック下にて、洗浄、5-0ナイロンで皮膚縫合した直後

背側から手関節軽度屈曲位でシーネ(オルソグラス3号)外固定した。手関節を軽度屈曲位で固定するのは、中枢側の腱断端が引き込まれるのを最小限にするため。