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【Step by Step 手術手技】指の副子(アルミ副子:アルフェンス®)

Key Point Summary

シーネ(ドイツ語) = スプリント(英語)= 添え木。

シーネの目的は患部を固定することである。

"不適切な固定" や "不要に長期間の固定"は、医原性の関節拘縮をまねくので×。

 

 

Q & A

 

resident
アルフェンス®って指の掌側と背側のどちらからあてたらいいのですか?

 

どちらからっていう決まりはないよ。ただ個人的には背側からあてることが多いね。指は(特にPIP関節が)屈曲拘縮にならないように伸ばして固定することが多いんだけど、背側からシーネをあてたほうが伸展位を保持しやすいよ。あと、掌側からシーネをあてた場合、シーネが関節の動き(屈曲)を制限してしまうことがあるよ。背側からの固定だと患部の隣接関節は曲げやすいんだ。
medical advisor

 

resident
わかりました!指の背側からあててみます!

 

あっ...アルフェンス®の表裏が反対だよ...スポンジの方を肌側につけてあげてね...
medical advisor

 

resident
...しまった...

 

(左)指の掌側からあてた場合:DIPが完全には伸展しておらず、↑の部分でシーネが邪魔になってPIP関節は屈曲しきれていない。 (右)指の背側からあてた場合:DIPは完全に伸展しており、PIP関節も十分に屈曲できている。

 

 

Outline

 

【定義】

  • シーネ(schiene)はドイツ語。英語ではスプリント(splint)という。
  • シーネは骨折した部位や関節などを固定するための「棒(板)」のことである。そのため、副木(ふくぼく)副子(ふくし)ともいう。
  • シーネの目的は患部を固定すること(=動かないようにする)である。

オルソグラスやライトスプリントもシーネに属するね。キャストでグルグル巻きに固定するギプスと比較すると固定力は落ちるけど、簡単に装着・取り外しができて、創部を観察しやすいなどのメリットがあるよ。
medical advisor
 

 

【適応】

  • シーネ(固定)が必要な状態:

骨折、捻挫、脱臼の整復後、腱縫合後、靱帯修復後、炎症(関節炎・腱鞘炎など)、関節上での皮膚縫合後、など。

  • 固定をすることの利点:

骨のアライメントの維持、炎症や痛みの軽減、治癒の促進、創部の保護、など。

   

 

Step by Step

 

■ Step 1:  固定する関節を決定する。

  • シーネで固定する関節を決定する。
  • 今回の症例は、母指背側の横方向の切創の縫合後である。術中にIP関節を最大屈曲位にすると創縁の緊張が増すことがわかったため、アルフェンス®をIP関節伸展位で指背側からあてがう方針とした。(もしMP関節の屈曲が創縁の緊張に影響するようであれば、MPを伸展位固定すればよい)

掌側からあててもよいが、背側からのほうが確実に伸展位にしやすく、またPIP関節屈曲時に邪魔にならない。

 

指のシーネでは、アルフェンス®の10 or 11号(いずれも幅13mm)が使いやすいよ。
medical advisor

 

 

 

■ Step 2: アルフェンス®を準備する。 

ハサミで切れ込みをいれる。

 

切れ込みを両側からいれた状態。

 

切れ込み部でグネグネ曲げる。

 

さらにグネグネする。

 

金属疲労でアルミが折れる。スポンジを少し長めに確保する。

 

長めに確保したスポンジで切断端を覆うと指にあてがったときに痛くない。

 

 

■ Step 3: 指にあてがう。 

  • 背側からIP関節伸展位で布テープ固定する。
  • 布テープの代わりに"3M コーバン(自着性弾力包帯)"も使いやすい。

 

 

 

■ コスト

J122-2の手指を選択する

 

 

Evidence

resident
ギプスとシーネの違いや適応に関して、わかりやすくまとまっている文献はありますか?

2009年にAnne SBらが、Am Fam Physicianに報告した下記の論文が読みやすいよ。
medical advisor

Anne SB et al. Principles of casting and splinting. Am Fam Physician 2009;79:16-22. 

 

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Shimpei Ono (Plastic Surgeon)

Associate Professor, Department of Plastic and Reconstructive Surgery, Nippon Medical School. He specializes in hand and foot plastic surgery, microsurgery, and reconstructive surgery, and is involved in clinical practice, research, and education. His research interests include the development of movable prosthetic fingers, VR education, application of 3D ultrasound and medical imaging engineering, and emphasis on PROs. He also has an interest in art anatomy and medical illustration, and lectures and writes about the fusion of art and medicine. In his educational activities, in addition to teaching students and residents, he is also involved in international medical exchange and disaster medicine as the director of the Association for Southeast Asian Medical Research (Ajiken).

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