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【診療Tips】ギプスカットの手技を徹底解説!

Key Point Summary

ギプス包帯、ギプスシーネ、ギプスシャーレの違いを理解する。

ギプスカットの方法を step by step で解説する。

 

 

 

Q & A

resident
形成外科の診療でギプスは必要ですか?

使いこなすと診療の質が上がるよ。特に小児の手足の手術(多指症手術、合指症手術、小趾列多合趾症など)では、術後の患部の安静のためにギプスを頻用しているよ。子供が包帯を嫌がってとってしまったり、ベッド柵にぶつけてしまうのは仕方ないことだよね。術者は、子供の特性を考慮して、患部の術後保護を考える必要があるね。
medical advisor

多指症術後のギプス固定

 

 

【準備物品】

  • ギプスカッター
  • 油性マジック
  • ギプスカット用のハサミ
  • ギプス開排器
  • 清拭タオル
  • シートや新聞紙(ギブスカットの際に白い粉が飛び散るため)

ギプスカッター

ギプスカット用のハサミ:下端が丸みを帯びていて患者さんの肌を傷つけない設計になっている。

ギプス開排器:ギプスに入れた切れ込みを広げる道具で、握ると先端が広がる構造になっている。

 

 

Step by Step

■ Step 1

  • カットする部分を油性マジックでマーキングする。

medical advisor
ギプスは上下肢で使用することが多いよ。カットするときは下の写真のように両側を縦方向にカットするといいよ。ギプスを半分にカットしたものを再び包帯で巻いて固定したものをギプスシャーレ、踵側の1/2のみを使用して包帯で固定したものをギプスシーネと呼ぶよ。

 

■ 参考サイト

ギプス包帯、シーネとシャーレの違い。

 

 

 

■ Step 2

  • ギプスカッターの刃を確認する。摩耗していない部分を使用するようにする。
  • ギプスカッターのスイッチを入れる。

resident
!!!スゴイ音ですね!

スイッチを入れると大きな音がするよ。患者さんに、事前にそのことを伝えておき、少しでも不安を軽減するようにしよう。
medical advisor

 

 

■ Step 3

  • ギプスカッターの刃をギプスに対して垂直に押し当てるようにしながらカットする。
  • ギプスをカットしている間は抵抗を感じる。うまくカットされると抵抗がなくなる。
  • ギプスカッターは母指と示指で把持し、中指でカウンターをかけながら押し当てる。

medical advisor
ギプスがカットされると急に抵抗がなくなるなるよ。抵抗消失後に刃をさらに奥まで押してしまうと皮膚が傷ついてしまうので、抵抗がなくなったら、刃が奥にいくのを瞬時に止められるように中指でカウンターをかけておこう。

medical advisor
ギプスがカット中は白い粉が飛び散るので、下にシートを敷いて、エプロン装着で処置するといいよ。

 

 

■ Step 4

  • ギプス開排器でカット部を広げる。
  • ギプスカット用のハサミで青綿をカットする。

 

 

■ Step 5

  • 濡れタオルで清拭する。
  • 肌荒れがひどい場合は、ステロイド軟膏(リンデロンVG軟膏など)外用を検討する。
  • 必要に応じて、ギプスシャーレ、ギプスシーネにして固定を継続する。ギプスカット後は固定が甘くなり、外れやすくなるので、布テープなどでしっかりと固定する。

小児は関節がやわらかいので、ギプスがすぽっと抜けてしまうことがあるよ。予防策として、ギプスの中枢側と肌を布テープで固定しておくのをオススメするよ。その際、エアウォールなどのフィルム剤を肌に貼付してから布テープ固定すると肌荒れが予防できるね。
medical advisor

 

 

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Shimpei Ono (Plastic Surgeon)

Associate Professor, Department of Plastic and Reconstructive Surgery, Nippon Medical School. He specializes in hand and foot plastic surgery, microsurgery, and reconstructive surgery, and is involved in clinical practice, research, and education. His research interests include the development of movable prosthetic fingers, VR education, application of 3D ultrasound and medical imaging engineering, and emphasis on PROs. He also has an interest in art anatomy and medical illustration, and lectures and writes about the fusion of art and medicine. In his educational activities, in addition to teaching students and residents, he is also involved in international medical exchange and disaster medicine as the director of the Association for Southeast Asian Medical Research (Ajiken).

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