plastic surgery Dentistry and Oral Surgery dermatology
【診療Tips】外歯瘻
Key Point Summary
外歯瘻は炎症性粉瘤とよく間違われる。
疑わないと診断できない。
正しく診断して、歯科・口腔外科に紹介しよう。
Outline 【概要】
歯性慢性化膿性炎(齲歯、歯槽骨炎、顎囊胞感染など)が自覚症状乏しいまま進行した結果、顔面・頤部皮膚に瘻孔を形成した状態 である。 瘻孔患部が原因歯から離れているため、皮膚科や形成外科を受診し、炎症性粉瘤や放線菌症と誤診され 切開排膿を繰り返されていることがある。 頬部や頤部の慢性炎症性病変を診た際には、外歯瘻を常に鑑別疾患として考慮し、口腔内の診察をすることが重要である。 画像検査としては、パノラマ線、CT、MRIが推奨されている。 本疾患を疑ったら、歯科・口腔外科に紹介する。入院設備を備え、手術が可能な総合病院が望ましい。 外歯瘻の治療の基本は、原因歯の抜歯および瘻管摘出であるが、症例の重症度によって異なる。
頤部に潰瘍(瘻孔)を認める。本例は潰瘍形成しているため比較的 診断は容易であるが、発赤・熱感・腫脹のみの状態(瘻孔形成前)では炎症性粉瘤との鑑別が困難な時がある。
瘻孔の裏側、つまり口腔内に歯性慢性化膿性炎を認める。
CTで歯槽骨・下顎骨の骨髄炎を認める。
Shimpei Ono (Plastic Surgeon)
日本医科大学形成外科学教室 准教授/医師。Advanced Medical Imaging and Engineering Laboratoryを主宰。
手足の形成外科、マイクロサージャリー、再建外科を専門とし、臨床・研究・教育に従事。可動式義指の開発、VR教育、3D超音波や医用画像工学の応用、PROsを重視した研究を展開。
美術解剖学や医療イラストレーションにも造詣があり、芸術と医学の融合をテーマに講演・執筆。教育活動では学生・研修医指導のほか、東南アジア医学研究会(Ajiken)部長として国際医療交流・災害医療にも取り組む。
-plastic surgery , Dentistry and Oral Surgery , dermatology -外歯瘻 , 歯性慢性化膿性炎 , 炎症性粉瘤 , fistula , 骨髄炎
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