plastic surgery hand surgery dermatology

【Step by Step 手術手技】指の血管拡張性肉芽腫

Key Point Summary

血管拡張性肉芽腫(=毛細血管拡張性肉芽腫、化膿性肉芽腫、ボトリオミコーゼ)の原因は不明。

外傷を契機に発生する易出血性のドーム状の暗紅色結節。

治療は手術による摘出が基本。

 

Q & A

 

resident
血管拡張性肉芽腫に液体窒素は効きますか?

病変が小さい場合は効くこともあるけど、直径5mm以上では手術による摘出が確実だよ。患者さんは軽微な刺激で頻回に出血して困っていることが多いので、早めに摘出してあげよう。
medical advisor

あと稀だけど、無色素性悪性黒色腫が紛れていることがあるんだ。両者は臨床像が似てる。血管拡張性肉芽腫と決めつけずに、摘出した病変は病理検査に提出するようにしよう。
medical advisor

 

Outline

 

【病因】

  • 以前は感染性の肉芽腫と考えられていた。近年は組織学的にイチゴ状血管腫に類似するため遅発性の血管腫とする説、さらに外傷により誘発される血管の過形成であるとする説がある。

原因がはっきりしないため、様々な呼び名があるよ。
medical advisor

 

【臨床所見】

  • 外傷を契機にすることが多い。
  • 短期間に一定の大きさ(<2cm)に増大する、単発で、易出血性の、ドーム状の暗紅色結節である。
  • 手指、顔、口腔内に好発する。

 

【治療】

  • ごく小さいもの(<5mm)は液体窒素で治療可能である。
  • 5mmをこえる大きさでは、手術による切除が望ましい。以下、メスによる切除症例を提示する。エルマンなどで削ってもよい。

 

Step by Step

 

■ Step 1 

  • 1%キシロカイン10cc指ブロック注射する。
  • 麻酔がきくまで3分待つ。

 

典型例では写真よりもう少しドーム状に盛り上がっている。
易出血性であることが診断の一助になる。

 

1%キシロカイン10cc指ブロック注射する。

 

■ Step 2 

滅菌手袋の指を使って指タニケットをする。
指先の穴は小さい方が駆血がしっかり効く。

 

■ Step 3 

  • 有鉤摂子などで摘まんで痛みがないことを確認する。

 

■ Step 4 

  • 11番メスをもちいてminimal marginで切除する。


すぐ直下に指神経があるため、誤って深く切り込まないように、環指や小指でストッパーをかけながら。

 


 

■ Step 7 

  • 本症例は、単純縫縮の方針とした。
  • DIP関節を軽度屈曲させて、5−0ナイロンで垂直マットレス縫合した。


マットレスのバイト幅はやや大きめにする(糸をだす位置が創縁から近いと裂けてしまう可能性があるため)。

欠損が大きい時は局所皮弁(transposition flapなど)を選択する。

 

■ Step 8 

  • 皮膜スプレーを噴霧し、ステリストリップで補強した。
    (このSTEPは必ずしも必要ない。ただし、アルフェンスシーネ外固定は必須である。)

 

皮膜スプレー(3M キャビロン非アルコール性皮膜)

ステリストリップ

 

■ Step 9

  • ガーゼ、布テープで固定した。


指タニケットを必ず解除する.

 

 

■ Step 10

  • 指背側からアルフェンスシーネ固定(DIP関節軽度屈曲位、PIP関節はフリーで動かせるように)
  • 保冷材で冷却した。

 

 

■ Step 11

  • 当日は、安静、患部冷却、患手挙上とする。
  • 術後2〜3日目から自宅処置(シャワー洗浄、軟膏、ガーゼを1日1回)を開始する。ステリストリップは初回の洗浄時にOFFする。


DIP関節は処置時に完全伸展しないように注意し、処置時以外ではアルフェンスシーネ外固定を継続する。

術後2週間程度で抜糸する。

 

■ 処方箋

  • ケフラールカプセル(250mg) 1回1錠 1日3回 毎食後  3日分
  • ロキソニン錠(60mg) 1回1錠 1日3回 毎食後 3日分
  • ムコスタ錠(100mg) 1回1錠 1日3回 毎食後 3日分

 

  • ゲンタシン軟膏 10g 1本

 

■ コスト

 

■ 長期経過

術後1ヶ月(伸展位)

術後1ヶ月(屈曲位)

  • This article was written by.
  • Latest Articles

Shimpei Ono (Plastic Surgeon)

Associate Professor, Department of Plastic and Reconstructive Surgery, Nippon Medical School. He specializes in hand and foot plastic surgery, microsurgery, and reconstructive surgery, and is involved in clinical practice, research, and education. His research interests include the development of movable prosthetic fingers, VR education, application of 3D ultrasound and medical imaging engineering, and emphasis on PROs. He also has an interest in art anatomy and medical illustration, and lectures and writes about the fusion of art and medicine. In his educational activities, in addition to teaching students and residents, he is also involved in international medical exchange and disaster medicine as the director of the Association for Southeast Asian Medical Research (Ajiken).

-plastic surgery, hand surgery, dermatology
-, , , ,

© 2025 Minor Surgery & Emergency Powered by AFFINGER5