背景にある医師不足
2016年の調査では、年間の時間外労働が1,860時間以上の医師の割合は以下の通りでした。
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大学病院:88%
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救命救急機能を有する病院:84%
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許可病床400床以上の病院:71%
これらの数字は、医師の長時間労働が常態化している現状を示しています。
医師の働き方改革のポイント
2024年4月から、医師の時間外労働は原則 年間960時間(月換算で80時間) に制限されます。
ただし、都道府県から指定を受けた一部医療機関では上限が緩和されます。
主なポイントは以下の通りです。
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長時間労働をしている医師に対する面接指導と、労働時間短縮の措置
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連続勤務時間の制限、勤務間インターバル、代償休息の導入
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医療機関の労働環境改善を評価する「医療機関勤務環境評価センター」の設置
医師の時間外労働規制まとめ
【区分と対象機関】
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A水準対象機関(主に民間病院)
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連携B水準対象機関(県立病院・市民病院)
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B水準対象機関(二次救急病院・一部中核病院)
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C-1水準対象機関(主に大学病院)
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C-2水準対象機関(大学病院、公的病院、赤十字病院)
【時間外労働の上限】
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A区分:960時間/年(100時間/月)
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B区分:1,860時間/年(100時間/月)
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C区分:1,860時間/年(100時間/月)
※いずれも休日労働を含む
【追加的健康確保措置】
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A区分:連続勤務時間28時間以内、勤務間インターバル9時間、代償休息(努力義務)
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B・C区分:上記が義務
医局における働き方改革
医局で働く勤務医として感じるのは、「業務の属人化」をなくすことが最も重要だと思います。
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「この仕事は自分しかできない」という思い込みを外し、チーム全体でシェアする意識が必要。
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一方で、専門性が必要なコア業務に集中する時間を確保することが最大の改革効果につながると実感しています。