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【LifeHack】コロナ禍における日本医大形成外科におけるレジデント教育システム構築の試み

Q & A

resident
コロナ禍で医局内のレジデント教育は変化しましたか?
大きく変わったよ。オンサイトのカンファレンスが開催しづらくなったね。ZoomやWebexを使ったオンラインカンファレンスを開催している医局が多いよ。
medical advisor
resident
学生さんや研修医は見学や実習が度々制限されて、かわいそうですね…
そう、かわいそうだね。コロナ禍において、SNSを使った教育システムは、そうした問題を解決する糸口になるかもしれないよ。
medical advisor

 

コロナ禍における日本医大形成外科のレジデント教育システムの試みを紹介するよ。
medical advisor

 

【学術カンファレンス】

毎週月曜日の夜に開催していた学術カンファレンスはWebexを使用したオンライン形式に切り替えました。学術カンファレンスでは、外部から講師をお招きして特別講演を開催したり、指導医によるミニレクチャー、抄読会(Journal Club)、学会の予演会などをおこなっています。また、若手の先生にも「俺の(私の)プレゼン」と題して、自分の興味あることや趣味などをプレゼンしてもらい、楽しくプレゼンを学ぶ場としています。コロナ前は、千駄木付属病院のみで開催していましたが、オンライン形式にしたことで、千駄木以外の現役医局員も参加することができるようになりました。また手術室や自宅からもアクセス可能なため、従来のオンサイト形式と比較して、参加者の利便性は明らかに向上しました。

また2020年4月〜すべてのレクチャーを動画撮影し、YouTubeライブラリーを作成し、医局員が自由にアクセスできる環境を整備しています。2021年8月の時点で147本の動画をライブラリ化しました。動画は、コロナ禍で実習できない学生の教育や大学院生のe-learningにも用いられています。

学術カンファレンスの講義を録画しYoutube配信している

resident
いつでも動画がみられるのは助かります!

 

 

【Hand HotLINE】

緊急症例専用の相談窓口・教育の場として、Hand hotLINEというclosedのSNSグループを運用しています。当直中に判断に困った症例や質問があるときに、24時間365日、いつでも自由に投稿し、気づいた上級医が回答するというシステムを構築しました。当初は、Handの緊急症例(切断指など)の相談窓口として開設しましたが、現在では対象疾患を限らず、なんでも相談できるようにしています。2021年8月の時点で56名が登録しています。1⼈の疑問を皆で共有することで、限られた症例数のなかで、皆が効率的に学ぶことを目指しています。

Hand HotLINEの実際の投稿

resident
1人当直中は心細いので、指導医の先生にすぐに相談できるシステムは心強いです。

 

 

【ホームページ】

2021年8月から、形成外科の手術手技をStep by Stepで解説したホームページ(マイナー外科・救急: https://imedica.jp)を開設し、スマホがあればいつでも形成外科を学ぶことができる環境整備をおこなっています。特に、救急外来で遭遇しやすいコモンディジーズを対象に、当直している先生が、ちょっとした疑問を3分で解決できるようにまとめました。現在、全日本病院出版会さんと書籍化の準備をすすめており、2022年4月に発刊される予定です。

 

 

【まとめ】

コロナ禍において、従来の教育システムのみでは、満足のいくレジデント教育は困難です。手術見学や実習に制限があるなかで、SNSを介した教育システムは、指導医が効果的且つ効率的に教育をおこなううえで、有用なツールです。今後は、VR(Virtual Reality: 仮想現実)をもちいた解剖実習や手術シミュレーションを実現したいと考えています。さらに各教育ツールの効果を定量化する評価法の導入も検討中です。

 

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Shimpei Ono (Plastic Surgeon)

Associate Professor, Department of Plastic and Reconstructive Surgery, Nippon Medical School. He specializes in hand and foot plastic surgery, microsurgery, and reconstructive surgery, and is involved in clinical practice, research, and education. His research interests include the development of movable prosthetic fingers, VR education, application of 3D ultrasound and medical imaging engineering, and emphasis on PROs. He also has an interest in art anatomy and medical illustration, and lectures and writes about the fusion of art and medicine. In his educational activities, in addition to teaching students and residents, he is also involved in international medical exchange and disaster medicine as the director of the Association for Southeast Asian Medical Research (Ajiken).

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